交通事故での弁護士相談|高次脳機能障害でお悩みの方へ

ご相談はこちら

I.はじめに

遷延性識障害の問題につき簡単に説明します。

1. 遷延性意識障害(せんえんせいいしきしょうがい)

一般に「寝たきり」とも言われる最も重い後遺障害です。脳に大きなダメージを受け、身体に麻痺も残るため、受傷後はほぼ寝たきりとなります。被害者には意識がないため、全面的な介護を受けなければ生きていくことができません。

2. 遷延性意識障害の被害者と家族の現実

「遷延性意識障害」の被害者は自分の意志を相手に伝えることができないため、食事や排泄、痰の吸引やおむつの交換、褥そう防止のためのこまめな体位変換など、日常生活の全てにおいて、24時間365日、気を許すことのできない介護が必要になります。これは、介護を行う被害者家族にとっても、精神的、体力的、経済的にも大きな負担となり、まさに交通事故後に襲い掛かる二次的被害と言っても過言ではありません。

3. ご家族の人生の回復も目指して......

当事務所はこれまで、300件を超える遷延性意識障害事案を手がけてきました。その中で常に大切にしてきたのは、被害に遭われたご本人の逸失利益(将来得られたであろう利益)の立証はもちろん、ご家族の心情と今後の人生にしっかりと目を向けるということです。将来にわたって介護を続けていくことには大変な困難が待ち受けています。それを少しでも解消し、ご家族の人生も取り戻していただけるよう、職業介護人の人件費や介護に適した家屋改造費、介護に必要な器具等の丁寧な立証を心がけてきました。当事務所が勝ち取った具体的な判例については、下記をご覧のうえ、訴訟にかける信念をご理解いただければと思います。

II. 遷延性意識障害事案における当事務所の取り組みと流れについて

遷延性意識障害の患者様については、いくつかの困難なハードルがあります。患者様のご家族の方々の心情いかばかりか、心よりご同情申し上げます。
以下、当事務所のお手伝いにつき申し述べます

1.病院の紹介等

(1) はじめに

遷延性意識障害の患者様は、どうしても長時間の入院加療が必要となります。当初の入院先・救急病院は、2ヶ月をメドに転院を促して参ります。そして転院にしても、その次の病院も3ヶ月で転院を促します。
遷延性意識障害の患者様にとっては、この転院と入院先の確保は大変な苦痛を伴う作業となります。この点、当事務所は、これらの患者様の要請に応えるべく、適切な病院の紹介をさせて頂いております。ぜひご相談下さい。

(2) 具体的な紹介先

具体的な紹介先病院としては、まず第一に全国に9箇所存在する自賠責管轄の療護センターをご案内しようと考えております。
その際の手続き及び入所の為の条件等につきましては、当事務所は多くの経験を有しておりますので、適切なご紹介が可能と考えております。
第二としては、各県各拠点に存在する適切な療養施設をご案内させて頂こうと考えております。これらの施設は、上記の療護センターを退所された方々で、自宅で介護されない方にも有用でございます。

2.症状固定から賠償へ

遷延性意識障害の患者様は、入院先の病院で受傷から1年くらいで症状固定となり、患者様は後遺症の認定を受けて賠償請求となります。ここでは、症状固定の意味・効果と、その際の問題を説明します。

(1) 症状固定について

① 時期について

症状固定は、遷延性の場合、受傷から6ヶ月を超えれば可能ですが、多くの場合は救急病院から転院した後、半年から1年は様子をみる場合が多いようです。
なおこの時期は、患者側と担当医の打合せにより定めることとなります。

② 効果について

症状固定とは、一応、リハビリを含めた事故に伴う治療をストップして、現実の賠償交渉に進むという区切りのことです。医学上の区切りというより、法律上の区切りです。
この効果は、患者に不利な点としては、それまで支払われた治療費や休業補償などがストップになります。
この点については、事前に準備として対策を講じておく必要があります。ご相談下さい。
なお、この症状固定により、賠償にむけた具体的な展望が開けることとなります。

(2) 成年後見人の人選

患者様が未成年であれば両親が親権者として対応出来ますが、成人の場合は成年後見人が必要となります。以下ご説明します。

① 未成年であれば、親権者(親)が子どもの全てを代理して監理するので問題ありません。
② 他方、成年した方に意識がないか、意識があっても自分で明確に意志表示できない場合には、①の親権者に代わって、代理して行動する人が必要となります。
これが成年後見人です。
③ この制度は、全て家庭裁判所の指示管理の下で行われます。

すなわち後見人を指定し管理するのが家庭裁判所という事になりますので、家庭裁判所に相談することから始めることになります。
注:後は、「成年後見について」の項目でご説明します。

(3) 病院退院後の遷延性意識障害の患者様への介護方法について

病院退所後の遷延性意識障害の患者様の介護については、①自宅介護、②施設介護の2つがあります。
この点はどちらを選択するかは、賠償上、金銭的にも極めて重大な差がでてくるところであります。自宅の介護にしても、施設での介護にしても、極めて専門的な知識を必要とします。しっかりしたプランの元に、賠償金を細かく積算する作業が必要となります。
次項以下で説明させて頂きます。

(4) 損害賠償について

遷延性識障害の被害者の方の賠償については、介護を自宅でするのか、施設でするのかという問題があるのは前述のとおりです。ここで2つの問題が重要ですので、以下説明します。

① 自宅介護と施設介護の賠償金の差について

自宅介護と施設介護については、おおよそ手許に残る賠償金が2対1の関係になります。すなわち、自宅での介護料と住宅改造等で1億円を超える例も多数ありますが、この場合、施設介護では5,000万円以下となります。これは大きな差ですので、患者様の将来を考えると、慎重な判断を必要とする所です。

② 介護料についての定期金賠償について

最近、将来介護料については毎月払いもしくは半年払いという定期金払いが論議されております。この点については、次のように考えております。
即ち、よほど状態の悪い患者の場合は定期金の判決が出る可能性がありますが、それ以外の場合現状の裁判では、患者側の主張の一時金となることが多いのが実情です。また、裁判上の和解であれば、ほぼ一時金となります。
私達は、この点についても十分議論を深めておりますのでご安心ください。

(5) 在宅介護についてアドバイス

① 自宅介護は大変だという声があります。しかし、遷延性意識障害の患者様にとっては、自宅での療養が最も望ましいものと思われます。

(ア) 自宅での介護人が常に近くにいて声かけ等のお世話をすることで、意識の戻る可能性が大きい。私は遷延性意識障害の患者様は、表現ができないだけで意識はあると考えております。
(イ) 最も怖い肺炎等の感染症の心配が少ない。
病院や施設の場合は、どうしても他の患者との接触がありますので、この点が問題です。自宅介護は、介護者が気をつければ全く心配ありません。

② 自宅介護については、裁判上、介護人は家族だけという構成にはなりません。

自宅介護のためには「住宅の改造」と「職業介護人の派遣」が裁判所から認められます。
「住宅の改造」につきましては、具体的には、現在の住宅の改造、新しく居宅を購入することが考えられますが、いずれも原則として裁判所で認められます。資金については、自賠責保険金を充てることとなります。この点、当事務所にデータがありますのでご安心下さい。

「職業介護人の派遣」についても、当事務所にノウハウがあります。家族のみで介護するのは大変ですが、職業介護人を利用することで、介護の方の休息も十分とれることとなります。
この点、各地方団体のケアマネージャーの方が、相談すれば介護プランを作成してくれると聞いております。

③ 自宅介護の際の福祉によるサポート

(ア) 介護保険(65歳以上適用)
ヘルパー費用30万円分の補助
※デイサービス、訪問入浴も可

(イ) 総合支援法(65未満)
サービス内容としては、上記(1)とほぼ同等
(金銭的には介護保険を上回る給付がなされている)

(ウ) 自賠責(ナスバ)の援助
(総合支援法適用の場合のみ)

特Ⅰ種(最重度)
無条件に8.2万円位 実費領収書をつけて21万円位
一種(常時要介護)
無条件に 7万円位 実費領収書をつけて16.5万円位
二種(随時要介護)
無条件に3.5万円位 実費領収書をつけて8万円位

いずれも実費の補助

(エ) 障害年金等

3. 賠償の流れ

以下、具体的な賠償の流れについてご説明します。

(1) 症状固定後の流れ

症状固定後は、患者側から、まず自賠責に後遺症の被害者請求をします。これは、相手の保険会社に関係なく、自賠責に後遺症相当分の金額を請求するものです。
遷延性もしくはそれに近い方の場合は、1級の4,000万円か2級の3,000万円が、過失が大きく無ければ国から給付されます。
この給付が入れば、患者側は財政的に一安心となります。
なお入金するまでの期間は、請求から4~5ヶ月かかります。

(2) 自賠責請求後の流れ

自賠責を取得して、財政的に安心した上で、最終的な賠償を請求することとなります。
請求の方法は、①示談もしくは②裁判等の手続きの2つです。
いずれの解決もあり得ますが、金額に大きな差が出る可能性がありますので、慎重な検討が必要です。

(3) 解決の仕方による差について

(4) 時間的な経緯は次のとおりです。

III.まとめ

遷延性意識障害の場合、自宅介護か施設介護かが一番問題となります。
自宅介護の場合には住宅の改造にしろ新築にしろ、多大な資金を必要とします。
この準備をどうするのかが大きな問題ですが、自賠責を利用することで可能となってきます。
また、正当な賠償を得るために、成年後見が必要となる場合が多くあります。
これらを含め既に300件以上をこす患者様のお手伝いをしている当事務所には十分ノウハウがありますので、お役に立てると思います。是非ご相談ください。

当事務所がこれまでに獲得した「遷延性意識障害」の判例

画期的判例:遷延性意識障害
「寝たきり」とも言われる最も重篤な後遺障害です。脳に大きなダメージを受けた被害者の多くは寝たきりで、他者の介護を受けなければ生きて行くことができません。高次脳機能障害と比べると障害の程度の立証は比較的容易ですが、加害者側は「寝たきり者は長く生きられない」、つまり、「被害者本人の余命は短いので、将来介護費は平均余命まで必要はない」と主張してくることが少なくないのです。しかし、これは極めて非人道的で一方的な主張だと言わざるを得ません。たとえ寝たきりであっても、健常者と同じように長生きすることは可能です。いかに良好な介護状態が維持できるか、また介護にあたる家族にも大切な人生があるということを、裁判所に理解してもらうための緻密な立証が必要です。

その他の後遺障害の「画期的判例」はこちらをご覧ください

画期的判例:高次脳機能障害
事故によって頭部に強い衝撃を受けた方には、「高次脳機能障害」という後遺障害が残っている可能性があります。身体に受けた傷の治療は終了し、機能もある程度回復しているのに、「事故前とは人格が変わってしまった」「ひとりで生活できなくなってしまった」など、精神的な部分での異変を感じた場合は、すみやかに専門病院で精密な検査を受けてください。高次脳機能障害は、外見からはその障害の深刻さが理解されにくく、健康だった事故前と事故後の生活レベルの差を立証するのは非常に困難です。高度な専門的知識を有する弁護士と医師の協力による立証活動が不可欠です。
画期的判例:重度脊髄損傷
「脊髄」とは、脳と身体をつなぐとても重要な中枢神経です。事故などでこの「脊髄」が傷ついてしまうと、脳からの指令が正確に伝わらなくなり、多くの場合、身体に麻痺が残ってしまうため、車いす生活や寝たきりの生活を余儀なくされます。しかし、麻痺だけではなく、脊髄損傷が原因で内臓にも弊害が出る場合が少なくありません。最近ではMRI等の画像診断でも確認されにくい中心性脊髄損傷という症例もあり、苦しんでおられる被害者の方が多いのが実情です。脊髄損傷による後遺障害の診断には、非常に専門性が必要ですので、十分な経験と実績を積んだ弁護士や医師の協力を仰ぐことが必要です。
画期的判例:死亡事案
何より大切な「命」が奪われてしまう死亡事故、それは、お亡くなりになった被害者本人にとっても、ご家族にとっても、最も辛い最悪の事態です。死亡事故の場合、被害者は当事者でありながら、事故がどのように起こったのかを説明することができません。一方、加害者の多くは自己防衛的な供述を行いがちです。そのため、加害者側の一方的な言い分が独り歩きし、被害者側が過失割合において不利になったり、ときには被害者なのに加害者として扱われることも少なくありません。まさに「死人に口なし」です。一度かたち作られた警察の捜査結果をくつがえすことは大変困難ですので、こうした事態を防ぐためにも、事故後できるだけ早い段階で交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。当事務所ではまず事故の真実をしっかり究明し、その上で、被害者とその家族が被った損害を、年齢、生前の職業や収入などをもとに緻密に立証しております。
画期的判例:上下肢切断・機能障害他
ここでは、上肢・下肢の障害、関節の機能障害等、整形外科的な後遺障害に係る裁判例を紹介しております。いずれも、被害者の方の不自由さを最大限裁判所に訴えて、十分な成果をあげたものです。ご検討ください。