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遷延性1級30代男性、加害者は免責主張(加害者無過失)するも、和解金と人身傷害保険金を合わせて2億円を超える高額賠償が認められた和解例

東京地方裁判所管内

■遷延性意識障害(判例036)
■後遺障害等級:1級 確定年:2015年和解
■東京地方裁判所管内

被害者の状況

①29歳・男性(給与所得者)
受傷時29歳 固定時30歳・男性(給与所得者)
道路横断中の歩行者に加害車両が衝突したもの
遷延性意識障害1級 骨盤変形12級(自賠責上は最上位の1級が認定されているので等級併合処理はされない)

認められた主な損害費目

休業損害

約700万円

逸失利益

約1億3,350万円

将来介護料(施設+家族)

約1億1,850万円

介護関連費用

約500万円

成年後見関連費用

約400万円

傷害慰謝料

約420万円

後遺障害慰謝料

約2,800万円

近親者慰謝料

約400万円

その他

約430万円

損害総額

3860万円

過失相殺(70%)

-約2億1,600万円

損益相殺(労災休業給付)

-約300万円

調整金(※1)

約1,140万円

和解金額

1100万円

  ※1遅延損害金及び弁護士費用を含む
※2訴外で人身傷害保険約1億円を先行して獲得している。本件では、人身傷害保険約款の解釈に照らし、訴訟で認定された被害者側の過失部分(約2億1,600円)に優先的に充当される。その結果、損益相殺・損害填補としては加害者賠償部分からの控除は発生しないので、上記に記載していない。
当該人身傷害保険金と合わせて総額2億円以上での解決となった。

詳細

加害者の主張

①加害者は、歩行者信号が赤信号であるにも関わらず被害者が信号無視をして横断をしたものであり、加害者は法定速度で第三車線を走行していたところであったから、加害者に回避可能性はなかったとして、加害者の無過失を主張した。
②被害者は、完全な遷延性意識障害からは脱していると考えられるカルテ上の記載を指摘したうえで、将来の介護体制は施設介護が基本的に想定されており、家族の介護は必要がない等と主張し、四肢麻痺で全部介助が必要であることを考慮しても、日額1万~1万2,000円程度が相当であると主張。

裁判所の判断

①当方では、加害者の免責(無過失)主張に対し、加害者自身の供述や主張において、突然被害者が出てきたというような内容があることや、加害者の前方不注意を基礎づける事情を自ら認めていることなどを詳細に指摘した。その結果、裁判所は、和解案において、被害者の赤信号横断であるとしつつも、加害者の免責主張は排斥し、過失相殺率を7割と認定した。
②当方からは、確かに施設が介護の主体となることを前提としつつも、家族も施設に赴いて施設職員だけでは不十分な点について、家族による補助的介助を行っていくと主張した。その結果、裁判所は、家族介護費用を肯定し、和解案において、日額1万9,000円の介護料を認定した。

当事務所のコメント

①自賠法上は、事故被害者の保護を図るために過失相殺事由(加害者の有利・被害者に不利な事情)は加害者側に立証責任を課しています。確かに、本件では第三者の目撃証言もあり、被害者の赤信号横断自体を覆すのは相当困難な状況でした。しかしながら、加害者の供述についてはあくまでも加害者の主観的な情報であり、また刑事事件においては自身が刑罰を受けるリスクもあることから必ずしもすべてを正確に説明しているのかは検討の必要があります。本件でも、加害者は被害者の飛び出しを主張しましたが、当方からは、被害者の飛び出しは、それを立証するだけの資料はなく、加害者は立証できていないこと、また加害者が不注意であったために衝突直前まで被害者の存在に気付かなかった可能性があることを指摘しました。その結果、加害者の免責主張は斥けられました。
目撃者証言などにより一見相当不利な状況ではありましたが、資料を精査し、的確な主張立証を行うことで、適正な過失割合を裁判により明らかにすることができました。
②施設や病院などの介護の場合、確かに介護の大半は施設が主体となります。しかしながら、施設の職員が本人に必要なすべての介護を行えるというわけではなく、家族による補助的な介護が必要なケースも多くあります。本件では将来施設に移行した際にも、ご家族がそうした補助的なお世話をしていく意向があり、この点をしっかりと裁判所に斟酌させたことで、日額1万9,000円という相当高額な介護料が認められました。

- 引用 -

遷延性1級30代男性、加害者は免責主張(加害者無過失)するも、和解金と人身傷害保険金を合わせて2億円を超える高額賠償が認められた和解例