無罪無責主張被告を大逆転高額賠償|遷延性意識障害|交通事故
横浜地裁(和解)
■遷延性意識障害(判例022)
■後遺障害等級:1級 確定年:2011年
■横浜地裁(和解)
被害者の状況
①61歳・男性(会社員)
② 原付バイクで信号のある交差点を右折中、対向直進車と衝突
③ 遷延性意識障害1級
④ 加害者は起訴されたものの、刑事裁判で「被害者の原付バイクが乱暴な早回りをしたことが事故の原因だ」と否認し、結果的に検察の立証不備で無罪となった。そのため、当初は自賠責保険金の取得も難しいという状況だった。
認められた主な損害費目
将来介護費 |
約7,300万円 |
---|---|
逸失利益 |
約2,700万円 |
休業損害 |
約1,100万円 |
住宅改造費 |
約2,100万円 |
介護器具費 |
約700万円 |
介護雑費 |
約600万円 |
本人慰謝料 |
約3,500万円 |
近親者慰謝料 |
約400万円 |
その他 |
約700万円 |
損害額 |
約1億9,100万円 |
過失60%控除後損害額 |
約7,900万円 |
労災控除 |
-約1,400万円 |
自賠責控除 |
-約4,100万円 |
調整金※ |
約1,500万円 |
最終金額 |
約3,900万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
加害者の主張
①「刑事裁判で無罪となったので事故の責任はない。仮に責任があるとしても自賠責の4,000万円で充当されているので、それ以上は払わない」と主張。
②在宅介護は認めない。
裁判所の判断
①事務所はまず刑事記録を精査し、被害者側にも十分理があるとして、当方の意見書を添えて自賠責の被害者請求から着手したところ、重過失減額もなしで自賠責から重度障害の最高額である4,000万円を先行取得することができた。
②被害者の家族はすでに在宅での介護を始めていたため、当事務所は、遷延性意識障害者を在宅介護するために必要な3つの要件、①住環境 ②医療環境 ③介護環境 について丁寧に立証。自宅介護と職業介護が認められた。
③過失につき、加害者の尋問に加え、証人を見つけて尋問を行ったところ、刑事事件では無罪責任無しとされたにも拘らず、加害者の過失を40%認めさすことができた。
④その結果、自賠責4,000万円のほか、上乗せとして約3,900万円、計7,900万円で和解することができた。
当事務所のコメント
①本件は刑事無罪であり、被害者は半ば諦めていたところ、当方と協議して努力した結果、成果をあげ得たという、稀なケースである。
②刑事無罪であっても、良く判決を検討し、針の穴を通す努力をするべきという代表的な事案である。
③在宅介護の費用に関しては、在宅介護への家族の意志を尊重し、介護に必要な諸雑費を緻密に積み上げていくことで、よい結果につながっていく。