高額な住宅改造費や将来介護料獲得|遷延性意識障害|交通事故
東京地裁管内 (和解)
■遷延性意識障害(判例016)
■後遺障害等級:1級 確定年:2009年
■東京地裁管内 (和解)
被害者の状況
①25歳・女性(会社員)
② 車の助手席に同乗中、前方不注視の大型貨物車が追突
③ 遷延性意識障害 1級
認められた主な損害費目
将来介護料 |
約1億1,700万円 |
---|---|
逸失利益 |
約5,900万円 |
住宅改造費 |
約1,800万円 |
介護諸費用 |
約1,900万円 |
傷害慰謝料 |
約400万円 |
後遺障害慰謝料 |
約3,500万円 |
近親者慰謝料 |
約800万円 |
その他 |
約1,800万円 |
損害額 |
約2億7,800万円 |
調整金※ |
約2,100万円 |
総計 |
約2億9,900万円 |
既払控除(任意) |
-約400万円 |
既払控除(自賠責) |
-約4,000万円 |
最終金額 |
約2億5,500万円 |
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)
詳細
加害者の主張
①自宅介護は不可能である。
②寝たきり者の余命を10年に短縮すべきである。従って将来介護料も10年で足りる。
③遷延性意識障害者は寝たきりで、健常者のように生活費がかからないため、生活費を20%控除をすべき。
裁判所の判断
①自宅介護が可能かどうか」という問題について、当事務所はまず、両親と協議しながら被害者を受け入れるための条件を整え、その上で、入院先の主治医から「自宅介護は可能」という承諾を得た。さらに裁判では自宅介護における利点をしっかりと主張し、結果的に十分な住宅改造費や高額な将来介護料が認められた。
②遷延性意識障害者の「余命」についてはすでに「医学的にみて、確たる証明はなされていない」という判例が出ていたため、和解では平均余命が認められた。
③遷延性意識障害者の生活費控除については、控除を認めているケースも稀にあるが、障害者であっても外出の際には洋服も必要で、情操教育のためには音楽を聴いたり、読書をしたり、テレビも見る。実際にこうした刺激を与えることで感情表現が豊かになり、意思表示が可能になることもあるのだ。当事務所は、ノーマライゼーションという観点からも、控除すべきではないと強く主張したところ、相手側の主張は完全に排除された。
④自宅介護のメリットと介護プランを緻密に立証した結果、1800万円という極めて高額な住宅改造費が認められた。
⑤被害者は助手席に同乗中、不可抗力の事故で人生を奪われ、介護にあたる両親の苦しみは計り知れないものであった。当事務所はそうした辛さもしっかりと主張し、その結果、3500万円という高額な本人慰謝料につながった。
⑥介護雑費は日額1500円(平均余命まで61年間=約1000万円)、職業介護料も日額2万円が認められたことで、介護費用のみで合計1億7000円という高額で和解を成立させることができた。
当事務所のコメント
①加害者が被害者に重い障害を負わせているにもかかわらず、裁判の中で「余命が短い=長生きしない(早く死ぬ)」という主張をすることは言語道断である。この非人道的な反論を粉砕できたことは、大きな意義があるといえる。
②家族は大変辛い介護の日々を送っていたが、当事務所との出会いによって、自宅介護のための十分な設備と介護費用を確保することができた。その点においては安堵いただけた事例だといえるだろう。
③将来介護については、家族のみならず、職業介護人を利用すれば十分対応できることが、家族にも裁判所にも認められた事案である。