自賠責の旧基準で慰謝料認定|上肢併合8級|交通事故 弁護士
名古屋地裁管内 (和解)
■上下肢切断・機能障害他(判例009)
■後遺障害等級:8級
併合7級 確定年:2009年
■名古屋地裁管内 (和解)
被害者の状況
①20歳・男性(大学生)
② 併合7級
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約3,220万円 |
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将来装具費 | 約240万円 |
傷害慰謝料 | 約200万円 |
後遺障害慰謝料 | 約940万円 |
その他 | 約350万円 |
損害額
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約4,950万円 |
過失20%控除後損害額 | 約3,960万円 |
調整金※ | 約470万円 |
総計
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約4,430万円 |
既払控除(自賠責)
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約1,050万円 |
既払控除(任意保険) | ▲約320万円 |
最終金額 | 約3,060万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
加害者の主張
①過失
原告の過失は40%。
②等級
自賠責における後遺障害等級の認定基準が変わったため、併合7級ではなく、新しい基準の10級を使うべき。
③労働能力喪失率
10級は基本的に27%だが、実際に仕事をしているので15%で計算すべきである。
裁判所の判断
①被害者の過失割合について、当事務所はせいぜい10%だと反論したところ、裁判所は20%と判断。
②原告が障害を抱えながらも苦労して働いていることを懸命に立証した結果、裁判所は旧基準で認定された併合7級の940万円という慰謝料を認めた。10級の場合は550万円なので、それだけで400万円近い差が出たことになる。
③逸失利益については新基準がベースとなったが、原告が現実には働いていたにもかかわらず労働能力喪失率は10級相当の25%を、また基礎収入は大卒男子の平均670万円が認められ、併合7級としては極めて高額な3,200万円となった。
当事務所のコメント
①自賠責の等級基準は時々変更されるが、損保会社にとって新基準のほうが有利な場合、新基準を使って金額を抑えようとしてくる。障害等級が旧基準で認定された以上、そのことをしっかりと主張することが大切だ。
②本件では逸失利益につき新基準を使用するのは公平の観点からやむを得ないが、後遺症の慰謝料については直ちに新基準を使用すべきでないという判断がなされた。極めて妥当である。
③自賠責込みの総額は4,110万円となり、同程度の後遺症事案と比較すると、高額な和解を獲得することができた。大変意義のある結果と言える。