自賠責保険の等級認定を裁判で覆した事例
さいたま地方裁判所管轄内
■高次脳機能障害(判例168)
■後遺障害等級:2級 確定年:2017年 和解
■さいたま地方裁判所管轄内
被害者の状況
①73歳・女性(会社員)
女性 会社員 受傷時73歳 症状固定時74歳
自動車同乗中の事故
高次脳機能障害2級
認められた主な損害費目
治療費 |
約940万円 |
---|---|
休業損害 |
約410万円 |
傷害慰謝料 |
298万円 |
逸失利益 |
約1,830万円 |
後遺障害慰謝料 |
2,370万円 |
将来介護料 |
約4,370万円 |
その他 |
約260万円 |
損害額 |
約1億0,480万円 |
任意保険金控除 |
-約1,070万円 |
自賠責保険金控除 |
-2,219万円 |
調整金 |
約1,870万円 |
近親者慰謝料 |
400万円 |
最終金額 |
約9,470万円 |
*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金2,219万円を加えて,総額約1億1,690万円を獲得した。
詳細
加害者の主張
① 被害者の後遺障害は自賠責保険の認定どおり,高次脳機能障害3級に該当する。
② 将来介護料については,在所施設で要していた自己負担分として,月額約9万円が相当である。
裁判所の判断
① 被害者は,高次脳機能障害によって,外出時には必ず見守りが必要であるとともに,食事・更衣・排泄・入浴等日常のあらゆる動作に介助が必要な状態にある。よって,後遺障害等級は,自賠責保険認定の3級ではなく,原告主張どおり2級相当と認められる。
② 原告の請求どおり,月額約33万円の施設費用に基づき,将来介護料を認める。
当事務所のコメント/ポイント
本件被害者は,自賠責保険の認定では高次脳機能障害3級とされた。しかし,日常生活の多くの場面で見守りや声掛けが欠かせない被害者の症状を的確に指摘した結果,裁判では自賠責保険の認定を覆し,高次脳機能障害2級と判断された。等級認定の専門機関である自賠責保険の認定を覆し得たのは,高次脳機能障害を専門的に扱っている当事務所ならではの成果である。
その結果,2級に相当する後遺障害慰謝料と,月額約33万円という2級基準の将来介護料を獲得することに成功した。