当初5000万円のみで解決予定のところ,その2倍以上, 1億2,000万円超まで総獲得額を引き上げた事案。
さいたま地裁管轄内
■高次脳機能障害(判例157)
■後遺障害等級:2級1号 確定年:2016年 和解
■さいたま地裁管轄内
被害者の状況
①58歳・男性(会社員)
男性 受傷時58歳 会社員
原告が交差点を自転車で(交差点中央付近を通過して)右折しようとしたところ,ちょうど後方から原告自転車を追い抜いて直進しようとした被告自動車に衝突された。
脳外傷による高次脳機能障害2級1号
認められた主な損害費目
治療費 |
約570万円 |
---|---|
付添看護料 |
約80万円 |
休業損害 |
約130万円 |
逸失利益 |
約2,990万円 |
将来介護料 |
約5,340万円 |
成年後見報酬 |
約320万円 |
傷害慰謝料 |
約200万円 |
後遺障害慰謝料 |
約2,370万円 |
その他 |
約70万円 |
損害額 |
約1億2,070万円 |
*1過失40%控除 |
-約4,830万円 |
既払い保険金控除(任意) |
-約1,140万円 |
人身傷害保険金控除 |
-約160万円 |
近親者慰謝料 |
約150万円 |
*2調整金 |
約1,210万円 |
*3最終金額 |
約7,300万円 |
*1過失相殺分は人身傷害保険金から塡補され,実質無関係。
*2調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当。
*3人身傷害保険金約4,990万円を加えた総受取額は約1億2,290万円である。
詳細
加害者の主張
原告の高次脳機能障害は改善しつつあるのだから,将来介護費用はせいぜい日額5,000円(合計約2,460万円)が限度である。
裁判所の判断
原告の高次脳機能障害は只でさえ2級に該当する上,人格変化の症状が重篤で,2級の中でも特に重い部類であり,介護を担う者の精神的負担は顕著である。したがって将来介護費用は,主として介護を担う妻が67歳になるまでは日額8,500円,妻67歳以降は日額1万3,000円として合計約5,340万円を認める。
当事務所のコメント/ポイント
高次脳機能障害2級障害を負った被害者を自宅で介護するため,必要な介護負担の重さについて詳細な立証を行った。
特に我々は高次脳機能障害に関する豊富な知見をもとに,本件は被害者の人格変化(高次脳機能障害による症状)が特に重篤で,2級高次脳の中でも重い症状であることに着目,丁寧な主張立証を行った結果,裁判所は2級の将来介護料として高額な基準(上記のとおり妻が67歳になるまでは日額8000円,妻67歳以降は日額1万3,000円)を採用し,計約5,340万円を認めた。
さらに被害者家族がかけていた人身傷害保険金も適切に請求した結果,過失相殺分(約4,830万円)が人身傷害保険金(約4,990万円)によって適切に補填され,総取得額は人身傷害保険金を併せて約1億2,290万円と,2級高次脳で過失相殺40%の事例としては著しく高額になった。最終的な獲得額が当初示談見込み額の倍以上になったことから,依頼者には大変喜ばれ,同時に人身傷害保険の重要性について改めて再認識させられた事案でもあった。
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