高次脳5級の被害者に日額4,000円の将来介護料を認定
名古屋地方裁判所管轄内
■高次脳機能障害(判例130)
■後遺障害等級:5級 確定年:2013年 和解
■名古屋地方裁判所管轄内
被害者の状況
①26歳・男性(会社員)
男性 会社員 受傷時26歳 症状固定時28歳
信号機のない交差点における直進自動車同士の事故
高次脳機能障害5級
認められた主な損害費目
付添看護費 |
約230万円 |
---|---|
休業損害 |
約580万円 |
逸失利益 |
約8,800万円 |
将来介護料 |
約2,690万円 |
傷害慰謝料 |
180万円 |
後遺障害慰謝料 |
1,400万円 |
その他 |
約600万円 |
損害額 |
約1億4,250万円 |
過失50%控除後 |
約7,140万円 |
自賠責保険金控除 |
-約1,574万円 |
*1)調整金 |
約930万円 |
最終金額 |
6,500万円 |
*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金1,574万円、人身傷害保険金3,000万円を加えて,総額約1億1,074万円を獲得した。
詳細
加害者の主張
①原告の「うつ症状」は高次脳機能障害を原因とするものではなく,心因性によるものと考えられるから,適切な環境下であれば,就労は可能であり,79%(5級相当)の労働能力喪失とすることは過大である(逸失利益について)。
②原告のIQ等は,平均的知力レベルであって,多少の記憶障害,注意障害が認められるとしても,家族による見守りが必要な場面は極めて限定されており、福祉的な介護の必要性は認められない(将来介護料について)。
・裁判所の判断
①後遺障害が5級の認定であること,症状の程度等を勘案し,労働能力は相当制限されていると言わざるを得ず,原告の請求通りに認めるのを相当とする。
②被害者の日常生活状況を踏まれば,介護が必要なことは明らかである。また,母が高齢であること等から,将来的には職業介護の必要性が生じることも否定し得ず,日額4,000円とする原告の将来介護料の請求は妥当なものであるから,これを認める。
当事務所のコメント/ポイント
本件は,将来介護料の必要性を激しく争われたが,原告の記憶障害,遂行機能障害,注意障害,自発性の低下、病識の欠如,感情コントロール低下,金銭管理能力低下,自己中心性等の高次脳機能障害に伴う原告の日常生活及び,就労への影響を,ご家族の協力も得ながら事細かく立証した結果,逸失利益,将来介護料ともに原告の請求どおりに損害が認められた。
特に,高次脳機能障害5級の被害者としては高額な日額4,000円の将来介護料が認められたことは特筆すべき点である。
また,過失が50%とされた場合であっても,人身傷害保険金,自賠責保険金を加えて,総額約1億1,000万円という5級の被害者としては高額な賠償金を獲得できたことは大いに参考にしてほしい。
- 引用 -