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年少女子(受傷時15歳)について,男女計・大学大学院卒平均賃金を採用

京都地方裁判所管轄内

■高次脳機能障害(判例112)
■後遺障害等級:7級 確定年:2012年 和解
■京都地方裁判所管轄内

被害者の状況

①15歳・女性(中学生)
女性 受傷時中学生 受傷時15歳、症状固定時16歳
中央線のない道路(いわゆる脇道)を原告自転車が走行中、対向の被告バイクと正面衝突した事故。
高次脳機能障害7級

認められた主な損害費目

傷害慰謝料

130万円

逸失利益

約4,530万円

後遺障害慰謝料

約1,030万円

その他

約50万円

損害額

約5,750万円

過失20%控除

-1,150万円

既払金控除(自賠責,任意保険金)

-約1,125万円

*1)調整金

約525万円

最終金額

4,000万円

*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金1,051万円,人身傷害保険金約1,150万円を加えて,総額約6,200万円を獲得した。

詳細

争点

①過失
②高次脳の等級
③年少女子の逸失利益基礎収入

加害者の主張

①過失
本件は,道のほぼ中央辺りでの正面衝突事故であるから,相互の視認状況や前方に対する注意義務は同等と言え,原告にも5割の過失が認められる。
②高次脳の等級
原告は,当初自賠責から高次脳9級の認定を受けていた。また,脳損傷の画像所見が確認できないこと,原告が事故後県の英語スピーチコンテストで優勝していること,事故後も普通に高校生活を送り大学に進学したこと,日常生活が自立しており,判断能力,記憶能力,遂行能力に大きな低下が見られないこと等から,高次脳機能障害はどんなに悪くとも9級相当である。
その後,自賠責に対する異議申立てによって高次脳7級の認定がなされているが,当該認定は誤りである。

裁判所の判断

①過失
自転車であった原告と,バイクであった被告では,その速度に差があるのであるから,本件事故の原因は,被告の前方不注視の過失による部分が大きい。一方で,左側通行を怠り右側を走行していた原告にも一定の過失があったことは否定できず,その過失は20%とするのが相当である。
②高次脳の等級
普通誰でも判断できる幼稚な内容について,いちいち母に尋ねないと行動できない等判断能力,遂行能力の低下を伺わせる母の証言はこれを信用することができるから,その他学校での様子,各種検査結果も併せ考慮すれば,原告の高次脳機能障害は,自賠責認定のとおり,7級に相当するというべきである。
③年少女子の逸失利益基礎収入
原告は,本件事故当時,大学に進学することが予定されていたから,「男女計」「大学・大学院卒」の平均賃金を基礎に逸失利益を算定する。

当事務所のコメント/ポイント

①高次脳の等級
被害者は,7級という中程度の高次脳がありながら,高校生活を送り,名門大学に進学した。また,県のスピーチコンテストで優勝する等の成績を残した。これは,事故後の本人の努力や周囲の手厚いサポートによるものであるのだが,裁判では,この努力が揚げ足をとられ,高次脳の症状は軽いと被告から主張された。しかし,当事務所において,全ての医学的資料を丁寧に分析するとともに,ご家族から日常生活状況を詳細に聴き取り,被害者の等級が7級であることを立証した結果,裁判所も7級であることを認定した。
また,本件では,当初通院していた病院の医師が,高次脳の専門家ではなかったため,高次脳について十分な診断を受けることができず,高次脳であることの診断が遅れてしまった。
高次脳は,極めて専門的な分野であるから,事故後の通院,診断,及びその後の加害者に対する賠償という一連の流れの中で,高次脳に精通した医師と弁護士によるサポートが欠かせないのである。

②逸失利益基礎収入
年少女子について,「男女計」「大学・大学院卒」の平均賃金による逸失利益が認められたことは極めて画期的なものであった。

- 引用 -

年少女子(受傷時15歳)について,男女計・大学大学院卒平均賃金を採用