高次脳5級の被害者に日額5000円の将来介護料を認定
横浜地方裁判所管轄内
■高次脳機能障害(判例105)
■後遺障害等級:5級、併合4級 確定年:2011年 和解
■横浜地方裁判所管轄内
被害者の状況
①67歳・女性(専業主婦)
女性 専業主婦(受傷時67歳、症状固定時71歳)
信号機のない交差点における直進車同士の事故(被害者原付バイク、加害者車)
脳外傷による高次脳機能障害5級等、併合4級
認められた主な損害費目
傷害慰謝料 |
約275万円 |
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休業損害 |
約1,000万円 |
逸失利益 |
約1,700万円 |
後遺障害慰謝料 |
約1,670万円 |
将来介護料 |
約2,000万円 |
その他 |
約900万円 |
損害額 |
約7,550万円 |
過失相殺控除 30% |
-約2,260万円 |
自賠責保険金控除 |
-1,713万円 |
任意保険金控除 |
-約500万円 |
*1)調整金 |
約1,850万円 |
最終金額 |
4,900万円 |
*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)自賠責保険金1,713万円を加えて,総額約6,613万円を獲得した。
詳細
・加害者の主張
①被告は一時停止後に徐行しながら交差点に進入したのに対して、原告はスピード超過で交差点に進入しており、原告には少なくとも40%の過失が認められる。
②将来介護料について、高次脳機能障害5級とは、特に軽易な労務であれば、自ら労務に就くことができるとされており、実際に身体状況、精神状況も相当程度良好な状態まで回復していた。その後、原告の症状が悪化したのは、事故後原告の夫が脳出血で倒れたことによる介護疲れであって、本件事故とは因果関係がない。したがって、原告に将来の介護が必要とは認められない。
・裁判所の判断
①被告が一時停止することによってその過失が減少するのは、一時停止後に左右の安全を確認して進行することができることにある。そうであるとすれば、本件被告のように、一時停止後、十分に左右を確認することなく、漫然と交差点内に進入した場合には、被告に一時停止があったものと評価することは相当ではない。したがって、原告の過失を30%とするのが相当である。
②本件事故によって施設介護が必要となった原告の現在の症状を丁寧に主張立証したところ、裁判所は、日額5000円の将来介護料を認めた。
当事務所のコメント/ポイント
本件では、過失相殺と将来介護料が争点となった。
まず、過失の点について、当初裁判所は原告の過失35%とする和解案を提示した。しかし、上記記載のとおり、一時停止をしただけでは被告の過失が減少しないことを指摘した結果、裁判所は、原告の過失を30%に改めた。
また、将来介護料についても、高次脳機能障害5級の被害者としては極めて高額な日額5000円の介護料が認定された。
いずれも、当事務所の豊富な経験と、それに基づく丁寧な主張、立証が裁判所に認められた成果であり、被害者の方にも大変喜ばれた。
- 引用 -