通院歴から訴因減額主張の反論を却下|高次脳|交通事故 弁護士
東京地裁管内(和解)
■高次脳機能障害(判例082)
■後遺障害等級:5級 確定年:2011年
■東京地裁管内(和解)
被害者の状況
①38歳・男性(会社員)
② 被害者の大型バイクが片側二車線の青信号交差点を直進中、対向右折車が渋滞側車線を車と車の間をぬって右折したため衝突した、いわゆる「サンキュー事故」
③ 脳挫傷による高次脳機能障害5級
認められた主な損害費目
逸失利益 |
約5,310万円 |
---|---|
将来介護料 |
約1,870万円 |
休業損害 |
約1,200万円 |
傷害慰謝料 |
約300万円 |
後遺障害慰謝料 |
約1,400万円 |
その他 |
約640万円 |
損害額 |
約1億720万円 |
過失30%控除後損害額 |
約7,200万円 |
既払控除(任意) |
-約1,600万円 |
既払控除(自賠責) |
-約1,570万円 |
既払控除(労災) |
-約140万円 |
※調整金 |
約550万円 |
最終金額 |
約4,440万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
加害者の主張
①高次脳5級に将来介護料は必要なし
②被害者には精神科の通院歴があり、もともと軽度の抑うつ神経症があったとして「素因減額」の一方的な主張を約2年にわたって繰り返した。
裁判所の判断
①この裁判では、高次脳5級の患者に将来介護料がいくら認められるかということが争点となった。当事務所は、「高次脳5級の被害者には自発性の低下や記憶障害などがあるので、見守り、監視、声賭けなどが必要だ」として、妻の陳述書を提出した上で証人尋問もおこない、被告の不要という主張を排斥し、結果的に将来介護料日額3,000円を認めさせた。
②被害者に事故前から神経症があったか、なかった、という点について当事務所は、相手側の立証活動の適否を問いながら現実に通院歴のないことを立証し、逆にペナルティーとして解決金の上乗せをすべきだという主張をおこなったところ、裁判官は加害者側の主張を却下。その結果、普通は10%程度しか上積みしされないところ15%(550万円)の上積み調整金を認めさせることができた。
当事務所のコメント
①被害者に精神科の通院歴がある場合、相手側の損保会社は、それが事故とは関係ないものであっても、本件のように素因減額の主張を行ってくることが少なくない。不当に裁判を遅延させるこうした理不尽な主張には、厳しい姿勢で立ち向かうべきである。
②この際、通院歴があるかないか、あったとしても症状の程度を立証することが重要である。