高次脳5級に異議申立の高齢女性に介護料|交通事故 弁護士
秋田地裁
■高次脳機能障害(判例079)
■後遺障害等級:併合3級 確定年:2011年
■秋田地裁
被害者の状況
①69歳・女性(主婦)
② 夜間、原告が道路を横断中、対向車のライトに気をとられていた被告車両に後ろからはねられた
③ 脳挫傷による高次脳機能障害5級、右手指関節機能障害8級、併合3級
④ 当初、高次脳7級(併合5級)と認定されたことに対し、実際よりも軽すぎるのではないかと不満を抱かれた被害者の家族が、当事務所に相談された。
認められた主な損害費目
逸失利益 |
約2,150万円 |
---|---|
将来介護料 |
約1,820万円 |
傷害慰謝料 |
約250万円 |
後遺障害慰謝料 |
約2,000万円 |
その他 |
約280万円 |
損害額 |
約6,500万円 |
過失10%控除後損害額 |
約5,880万円 |
弁護士費用 |
約360万円 |
確定遅延損害金 |
約580万円 |
総合計 |
約6,820万円 |
既払控除(任意) |
-約30万円 |
既払控除(自賠責) |
-約2,210万円 |
最終金額 |
約4,580万円 |
その他 近親者慰謝料 |
約75万円 |
また、事故から5年後に裁判解決しましたので、最終金額に対して約25%(年5%×5年)の延滞利息が付加されます。
詳細
加害者の主張
高次脳機能障害5級に将来介護料は必要なし
裁判所の判断
①被害者家族の訴えからは、高次脳機能障害の等級が低すぎる感があった。しかしながら69歳という年齢で、加齢の影響も考えられるため、当事務所は被害者の生活状況等を家族から丹念に聴取した上で、懇意にしている秋田の高次脳拠点病院をご紹介し、再度の診断を経て異議申し立てをおこなった。その結果、等級は5級(併合3級)に上昇させることができた。
②裁判では、被害者は労働能力喪失率、将来介護料等全てついて争った。しかし判決では、併合3級に対して労働能力喪失率100%が認められ、高次脳機能障害の症状が重いことから、被害者に適宜指導・指示するなどの介助や、家事の代行が必要とみなされ、日額4,000円という極めて高額な将来介護料も認められた。高次脳機能障害5級にもかかわらず、事実上は3級以上で随時介護を認めたものと同様に評価できる結果となった。
当事務所のコメント
①被害者の高次脳機能障害の程度は相当重かったにもかかわらず、相手側はあくまでも7級と主張し本格的に争う姿勢で、日常生活をビデオ撮影するなどして反論をおこなってきた。そうした行為に対し、当事務所は本人尋問のほか、介護をしている夫にも妻の状態について証言してもらうなどの立証活動を行い、言語障害、記憶・記名力障害、遂行機能障害があることを立証。判決で高額な介護費用を認めさせた。結果的に、被害者とご家族には大変喜んでいただくことができた。
②後遺障害の等級認定が軽すぎるのではないかと悩んでいる方は、地方の方でもあきらめずに、専門医とのネットワークを持つ弁護士にぜひ相談されることをお勧めしたい。