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9歳児童の将来可能性を認め平均賃金採用|高次脳|交通事故

東京地裁管内 (和解)

■高次脳機能障害(判例073)
■後遺障害等級:3級 確定年:2010年
■東京地裁管内 (和解)

被害者の状況

①9歳・男児(小学生)
② 自転車でT字路を横断中、左方から直進してきた被告車両が衝突。
③ 脳挫傷による高次脳機能障害 3級
④ この事故で被害者に遭った男児は、重い高次脳機能障害を負ったため、小学校への通学が困難となり、事故から4年後特別支援の中学校への入学を余儀なくされた。介護も必要な状況であった

認められた主な損害費目

逸失利益

約6,800万円

将来介護料

約2,800万円

傷害慰謝料

約120万円

後遺障害慰謝料

約2, 200万円

その他

約680万円

損害額

約12,600万円

過失30%控除後損害額

約9,000万円

調整金※

約3,670万円

総計

約1億2,670万円

既払控除(任意)

-約470万円

既払控除(自賠責)

-約2,200万円

最終金額

約1億円

(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)

詳細

加害者の主張

①将来介護料は2,000~3,000円で足りる

②男児の方に30%の過失があると強硬に反論

③事故時に小学生だったので、逸失利益の基礎収入は平均賃金より下げるべきである

裁判所の判断

①当事務所は将来介護料として日額7000円が必要であると主張したが、裁判所からは日額4500円の提示がなされた。しかし我々は、障害の重さからみてそれでは低すぎると強く主張したところ、和解の場で裁判所は見解を変更し、結果的に6000円が認められた。

②過失割合について当事務所は、実況見分調書を精査した上で、男児の過失はせいぜい10%にとどまると主張したが、相手側は男児の方に30%の過失があると強硬に反論。議論を重ねたものの、残念ながら裁判所は30対70と判断した。

③逸失利益については、事故時に小学生だった被害者の基礎収入をどうみるかが問題となったが、当事務所は子どもの場合は将来に可能性があるため、男性の平均賃金540万円を使うべきだと主張。その結果、裁判所はそれも認め、逸失利益は6,800万円を超える高額となった。

当事務所のコメント

①成長期の子どもの場合、高次脳機能障害のレベルをどう評価するかという判断が難しい、この場合は、学校の協力が不可欠なところ、当事務所は両親や支援学校の関係者などから、日常生活や学校生活の困難さについて緻密な聞き取りを行い、介護の大変さを陳述書にして立証した。そうした努力が実り、高次脳3級としては満足のいく将来介護料日額6,000円が認められた。

②子どもの高次脳の立証には、困難を伴うが、家族、学校、医師の協力を得ることが必要である。