加害者の虚偽供述を法廷で完全逆転|高次脳機能障害 | 交通事故
東京地裁管内 (判決)
■高次脳機能障害(判例059)
■後遺障害等級:5級
併合4級 確定年:2009
過失大逆転事案
■東京地裁管内 (判決)
過失大逆転事案
被害者の状況
①41歳・女性(パート主婦)
② 原告が自転車で青信号交差点を横断中、右方からのトラックが衝突
③ 高次脳機能障害5級、嗅覚脱失12級、併合4級
④ 加害者は「自転車側が赤信号で横断した」と供述していたため、本件は被害者に全面的な過失ありで処理されようとしていた。しかし、被害者の夫は「妻は赤信号を無視するような人間ではない」と強硬に主張していた。
認められた主な損害費目
逸失利益 |
約3,900万円 |
---|---|
将来介護料 |
約1,200万円 |
傷害慰謝料 |
約250万円 |
後遺障害慰謝料 |
約1,670万円 |
その他 |
約980万円 |
損害額 |
約8,000万円 |
弁護士費用 |
約290万円 |
確定遅延損害金 |
約360万円 |
遅延損害金(1年8ヶ月相当) |
約240万円 |
総計 |
約8,890万円 |
既払控除(労災・人傷) |
-約3,570万円 |
既払控除(自賠責) |
-約1,820万円 |
最終金額 |
約3,500万円 |
詳細
加害者の主張
①被害者が赤信号で横断したため被害者側に全面的な過失あり
②併合4級であり、一定程度の家事労働もできているので、労働能力喪失率は50%以下にすべき。
裁判所の判断
①両者で食い違う事故状況を明らかにするため、当事務所もすぐさま現場に張り紙をするなどして情報提供を募ったところ、目撃者が名乗り出て、被害者は青信号で横断中に事故に遭ったことを確認した。そこですぐにその事実を警察に通報し、目撃者の実況見分を実施させることに成功した。
②裁判ではこの目撃者による証人尋問も実現。加害者への反対尋問では、信号の色に関する供述の矛盾を明らかにすることができたため、結果的に被害者の過失割合はゼロになり、完全に逆転させることができた。
③被害者の後遺障害等級は併合4級だったが、高次脳機能障害の影響で、火を使用する際に危険があるなど、実際の日常生活においては相当な支障を生じていた。そこで、夫の陳述書などでさまざまな支障や問題点を詳細に立証した結果、労働能力喪失率については80%が認められた。
④労働能力喪失率80%のパート主婦で、実質5級の高次脳被害者に、将来介護料日額2000円を認めたことも画期的だといえるだろう。
当事務所のコメント
①加害者は被害者が高次脳であることを逆手にとって、信号の色について虚偽の証言を繰り返し、全面的な過失を被害者になすりつけようとした。しかし、被害者の夫の執念と努力が我々を動かしたことで、目撃者の発見につながり、完全逆転勝訴という結果を勝ち取ることができた。
②過失については絶対にあきらめないことが大切である。
③また過失分については、被害者側の人身傷害保険を利用して、満額である高額な8,900万円を獲得できた。