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5級の高次脳機能障害に将来介護料を獲得|交通事故 弁護士

松山地裁管内 (和解)

■高次脳機能障害(判例054)
■後遺障害等級:5級 確定年:2009年
裁判所認定額 約1億円
■松山地裁管内 (和解)

裁判所認定額 約1億円

被害者の状況

①21歳・女性(大学生)
② 青信号にしたがって自転車で横断歩道を横断中、信号無視の乗用車に衝突される
③ 脳挫傷による高次脳機能障害 5級
④ 退院後、被害者の女性は復学し、なんとか大学を卒業して就職したが、なかなか仕事をうまくこなすことができなかった。そのことを大変心配した両親が、事故による後遺障害ではないかと疑いを抱いて、地元の複数の病院を受診させてみたが、高次脳機能障害の知識が無いことから、事故による後遺障害とは診断はされなかった。

認められた主な損害費目

逸失利益 約6,100万円
将来介護料 約1,000万円
休業損害 約400万円
傷害慰謝料 約300万円
後遺障害慰謝料 約1,500万円
その他 約300万円
損害額
約9,600万円
調整金※ 約2,000万円
総計
約1億1,600万円
既払控除(自賠責) ▲約1,600万円
最終金額 約1億円

※弁護士費用及び遅延損害金相当額

詳細

加害者の主張

5級の高次脳被害者に将来介護料は必要なし。

裁判所の判断

①後遺障害はないという診断を受けたものの、日常生活を傍で見ていて、娘の状態の悪さに両親は不安をぬぐえず、被害者団体経由で当事務所に相談された。そこで我々は早速、中国地方にある専門病院を紹介したところ、被害者は5級の高次脳機能障害と診断された。

②裁判では5級の将来介護料をどうみるかが大きな争点となった。被害者は身の回りのことは自分でできるが、戸締り、火の不始末、コミュニケーションがとりづらい、お金の計算ができないなど、あらゆる場面で家族のサポートが必要だった。

③当事務所は、両親から被害者の日常の状況をしっかりヒアリングして立証。その結果、相手は「0」だと争ったが、裁判所は日額1,500円の将来介護料を認めた。

④後遺障害慰謝料については、相手が悪質な信号無視をおこなっていたので、5割増しの1,500万円が認められ、結果的に和解額は、5級としては極めて高額の1億1,600万円(自賠責込)となった。

当事務所のコメント

①地方には高次脳機能障害を的確に診断ができる専門病院が少なく、重篤な障害そのものを見逃されているケースが少なくない。遠方であっても、まずは専門病院で適切な診断を仰ぐことが大切である。本件はその代表的例である。

②そもそも「5級で将来介護料を請求する」という発想は、当事務所以外にはみられないが、とにかく等級にとらわれることなく、個々の被害者の状態に応じた主張を行うことが大切である。

③本件の被害者にはその後、当事務所の方で障害者雇用の指導をおこなったところ、一部上場企業に就職することができた。被害者と両親には高額の賠償が獲得できたことだけでなく、この点においても大変喜んでいただけた好事例である。