自衛隊自賠責適用除外と事故。国賠低額案を逆転|交通事故
東京地裁管内 (和解)
■高次脳機能障害(判例053)
■後遺障害等級:5級
併合4級 確定年:2009年
裁判所認定額 約4,200万円
■東京地裁管内 (和解)
裁判所認定額 約4,200万円
被害者の状況
①4歳・女児
② 幼い姉妹の二人乗り自転車と自衛隊の人員輸送用バスが衝突。長女(6歳)は死亡。次女(4歳)は頭がい骨骨折、脳挫傷の重傷
③ 自賠責の等級認定が受けられないため、原告は脳挫傷による高次脳機能障害5級 複視13級 併合4級と主張
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約4,000万円 |
---|---|
傷害慰謝料 | 約200万円 |
後遺障害慰謝料 | 約800万円 |
損害額
|
約5,000万円 |
過失40%控除後損害額 | 約3,000万円 |
調整金※ | 約1,200万円 |
最終金額 | 約4,200万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
本件の問題点
①自衛隊車両は、法律で自賠責保険の適用が除外されている。そのため、被害者は自賠責の後遺障害等級認定すら受けることができず、長い年月大変な苦労をされていた。
②当事務所に相談に来られたときには、事故からすでに13年が経過していたが、自衛隊側の一方的な診断結果である12級をもとに、850万円という低額な示談金額が示されたまま、和解の寸前まで話が進んでいた。
裁判所の判断
①依頼を受けた当事務所は等級が低すぎることから、すぐに首都圏にある高次能機能障害の専門病院での受診をすすめた結果、被害者は5級相当の高次脳機能障害であると診断された。
②自衛隊側が独自に判断していた後遺障害等級は脳は12級併合で11級相当だったため、専門病院が新たに診断した5級相当という結果をもとに自衛隊(国)を相手に訴えを起こしたところ、裁判所もそれを認め、自衛隊が提示していた賠償額の約5倍での和解を勝ち取ることができた。
当事務所のコメント
①事故の相手が「国」の場合、全面的に信用しがちだが、それは危険であることを具体的に示した事案である。現実に、この事故で亡くなった長女の場合も、自賠責なら無条件で3,000万円が支払われるところ、すでに約1,800万円で示談が成立していた。本来ならそれもやり直すべき事案である。国の言いなりにならず、納得できるまで専門家に相談することが大切である。
②本件の依頼者は、自賠責が使えなかったことから金銭的に大変厳しい生活を強いられていたが、当事務所の基本である「着手金の後払いシステム」をご利用いただき、自己負担無しで訴訟を行った。その結果、国の提示額の5倍という和解を委任後1年という短期間で成立させることができ、大変喜んでいただいた。
③事故から和解までに16年もの歳月が経過していたことから、裁判所は40%という高額の調整金(遅延損害金・弁護士費用)を認めた。これも高く評価されるべきである。