地方では難しい子どもの高次脳診断を併合2級認定|交通事故
広島地裁管内 (和解 )
■高次脳機能障害(判例052)
■後遺障害等級:3級
併合2級 確定年:2009年
裁判所認定額 約1億5,000万円
■広島地裁管内 (和解 )
裁判所認定額 約1億5,000万円
被害者の状況
① ・男児(幼児)
② 父親が運転する大型貨物車に男児が同乗中、後部から来た大型貨物に追突され受傷
③ 脳挫傷による高次脳機能障害 3級 複視12級 併合2級
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約7,100万円 |
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将来介護料 | 約5,200万円 |
付添介護料(症状固定前) | 約2,400万円 |
後遺障害慰謝料 | 約2,100万円 |
その他 | 約800万円 |
損害額
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約1億7,600万円 |
調整金※
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約1,300万円 |
総計
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約1億8,900万円 |
既払控除(自賠責) | ▲約2,400万円 |
加害会社から賠償 | ▲約1,500万円 |
最終金額 | 約1億5,000万円 |
※弁護士費用及び遅延損害金相当額
詳細
本件の問題点
①事故直後からずっと治療を続けていたものの、小学校に上がっても症状がなかなか改善しなかったが、地方の医師に十分な子どもの高次脳機能障害の知識が無いため放置されていた事案。悩みぬかれた母親は、地元の医療機関の曖昧な診断をうのみにせず、当事務所を探して相談に来られたのが受任するきっかけだった。この時点で、事故からすでに十余年が経過していた。
②本件事故の加害車の対人保険は、無制限ではなく1億5,000万円の制限がついていた。
裁判所の判断
①相談を受けた当事務所は、すぐに被害者が住む九州地方で高次脳機能障害の診断ができる専門病院を探したが、残念ながらいずれも子どもは対象外という回答だった。そこで、遠方ではあったが、首都圏の児童専門の医師を紹介し、十分な検査が行われた結果、正確な診断と共に自賠責で高次脳機能障害は3級と認定された。
②加害車の対人保険には1億5,000万円の制限がついていたが、加害者に対し調停を行い、保険会社からはとりあえず満額支払いがなされた。さらに、加害者が勤めていた運送会社を訴えた結果、1,500万円を自己負担で支払うということで和解することができた。
当事務所のコメント
①医療が手薄な地方において、子どもの高次脳機能障害を診断してもらうことは大変困難である。本件の場合は、当事務所の専門知識と医療ネットワークを活用して、適正な診断を受け、等級認定を獲得できたことが高額賠償につながった。
②本件では、自動車保険に上限があったが、更に加害会社から賠償を取得できたケースである。
③本件被害者の母親は、事故後、夫と離婚し、障害を負ったわが子を女手ひとつで育てながら大変な苦労をされていた。適正な障害認定の上、十分な賠償を得ることができたことで、将来においての経済的な苦労だけは取り除くことができたのではないかと思っている。