高額な将来介護料と逸失利益の和解|高次脳機能障害|交通事故
大阪地裁管内 (和解)
■高次脳機能障害(判例038)
■後遺障害等級:3級
併合2級 確定年:2008年
裁判所認定額 約1億700万円
■大阪地裁管内 (和解)
裁判所認定額 約1億700万円
被害者の状況
①16歳・男性(高校生)
② 自転車で横断歩道を横断中、交差点内で普通乗用車と衝突。
③ 脳挫傷による高次脳機能障害3級、併合2級
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約9,500万円 |
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将来介護料 | 約2,000万円 |
後遺障害慰謝料 | 約2,400万円 |
その他 | 約1,500万円 |
損害額
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約1億5,400万円 |
過失20%控除後損害額 | 約1億2,300万円 |
調整金※ | 約2,600万円 |
総計
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約1億4,900万円 |
既払控除 | ▲約4,700万円 |
最終金額
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約1億200万円 |
近親者慰謝料
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約500万円 |
最終金額 | 約1億700万円 |
(※弁護士費用及び遅延損害金相当額)
詳細
加害者の主張
①過失割合は、被害者の自転車が黄色で進入したため、被害者に40%あり。
②将来介護料は、事故後大学に進学できたため不要である。
③逸失利益は、卒業後に仕事に就くことも可能なので積算する必要なし。
裁判所の判断
①過失割合について当事務所は、加害者が黄色の信号を認識したと供述した地点をもとに信号の色や速度を割り出し、相手側の無謀運転を立証。その結果、被害者の過失を20%まで下げることに成功した。
②高校生だった被害者はこの事故で高次脳機能障害を負いながらも、なんとか大学に入学し、傍目からは一般的な大学生活を送っているように見えた。しかし、あくまでも無試験で進学できる大学であり、現実には大学の学生課のサポートなしでは通えなかった。そこで、当事務所がその点を緻密に立証した結果、裁判所は日額2,000円の付き添い将来介護料を認め、労働能力喪失率についても95%と認定した。
③裁判所は当初、約9,000万円での和解を考えていたが、当事務所が将来介護料と逸失利益を増額するための立証に力を入れた結果、総額1億700万円という高額での和解が成立した。
当事務所のコメント
①信号の色が争点となる事故の立証は困難だが、双方の主張をこまかく検証することによってその矛盾点を突くことが大切である。本件では相手の無謀運転を立証することに成功し、被害者の過失割合を下げることができた。
②高次脳と診断された被害者が事故後に進学した場合、相手側の反論材料となりがちである。しかし、現実の日常生活の大変さは健常者のそれとは大きく異なることを就学実態など緻密に立証し、裁判官に理解してもらうことが大切だ。本件は結果的に高額な逸失利益と将来介護料が認められ、依頼者には大変ご満足いただくことができた。