脳7級に6級以上の労働能力喪失率|高次脳機能障害|交通事故
名古屋地裁管内
■高次脳機能障害(判例013)
■後遺障害等級:7級併合6級 確定年:2006年
■名古屋地裁管内
被害者の状況
①26歳・女性(会社員)
② 自動二輪車で交差点を直進中、対向車線から右折しようとした普通貨物車に側面から衝突された。
③ 高次脳機能障害(脳7級)+視野狭窄(11級)で併合6級=労働能力喪失率67%。
④ 被害者は大卒で、知的レベルが高く、コンピュータのプログラマーの職についていた。一旦は復職を試みたものの、記憶の障害によりその道は絶たれてしまった。
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約5,500万円 |
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休業損害 | 約1,300万円 |
慰謝料 | 約1,200万円 |
その他 | 約600万円 |
計 | 約8,600万円 |
過失相殺25%控除後 約6,500万円
詳細
加害者の主張
①被害者の高次脳機能障害は、実際には7級より軽い。
②労働能力喪失率も障害に応じて下げるべき。
裁判所の判断
①障害の重さについて、当事務所は医師の意見書を添え、「実際の障害はもっと重く、高次脳機能障害5級(併合4級)である」と主張したが、加害者側は「7級より軽い」と反論してきた。患者はもともと知能が高いことから、高次脳機能障害となっても知能低下が少ないという状態であった。そこで、さらに新たな意見書などを添えてこまかい立証を行った。
②その結果、裁判所は被害者の現状を慮って、「本件においては、通常は5級(79%)とされる例が多い労働能力喪失率との間の、ほぼ中間値に近い75%を原告の労働能力喪失率とするのが相当である」と認定した。
当事務所のコメント
①患者のもともとの能力が高く高度な知的レベルを要求される職業の場合、軽度な記憶障害でも致命的な影響が出ることがある。
②たとえ自賠責で併合6級とされても、裁判所で丁寧に立証すれば、それ以上の労働能力喪失率が認められることもあるということを実証した画期的な判例となった。