高次脳機能障害2級に常時職業介護を認定|交通事故 弁護士
名古屋地裁管内
■高次脳機能障害(判例010)
■後遺障害等級:2級 確定年:2005年
■名古屋地裁管内
被害者の状況
①23歳・男性
② 原付バイクで直進中、路外へ進出しようとした対向右折乗用車と衝突。
③ 脳挫傷による高次脳機能障害(2級)。
④ 被害者の症状は2級でありながら極めて重く、精神年齢は5歳程度で、記憶力は0に近い状態。日常生活でも火の始末を忘れてしまうため、火災など重大な事態を招く危険性があった。
認められた主な損害費目
将来介護料 | 約9,300万円 |
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逸失利益 | 約8,700万円 |
後遺障害慰謝料 | 約2,200万円 |
近親者慰謝料 | 約300万円 |
その他 | 約1,900万円 |
計 | 約2億2,400万円 |
(過失相殺30%控除後約1億5,700万円)
詳細
加害者の主張
①将来介護料
高次脳2級なので職業介護人の必要はなく、家族による随時介護で十分。
②過失
被害者はヘルメット不着用だったため、重過失は免れない
裁判所の判断
①将来介護料
本件の場合は、離婚した父親が一人で息子の介護にあたっており、起床から就寝までを常に看視していなければならないという厳しい状態にあった。そこで当事務所は現状を詳細な陳述書で立証するとともに、職業介護人による常時介護の必要性を訴えたところ、裁判所は「看視」を必要とする常時介護と職業介護の相当性を認め、父親が就労可能な期間の職業介護を日額1万5,000円×240日、父親が68歳以降は1万5,000円×365日、という高額な職業介護料を認めた。
②逸失利益
高卒全年齢平均賃金を基礎収入とする逸失利益が認められた。
③慰謝料
高次脳2級でありながら父親に慰謝料300万円を認めたのも異例である。
④過失
相手側から出された鑑定によって、被害者のヘルメット不着用とスピード超過が認められたため、30%の過失相殺が行われたのは残念だったが当事務所の緻密な立証活動が功を奏し、結果的に総額2億2,000万円超の高額な損害が認定された。過失相殺後、1億5,700万円という賠償額となった。
当事務所のコメント
①将来介護料
(1)過去に高次脳2級でこれほど高額な将来介護料を認めた判決はなく、本件は「高次脳機能障害2級でも常時介護と職業介護を認める」という流れを作った非常に画期的な内容だといえる。
(2)将来介護料の算定にあたっては、原告が居住する地域の日常生活支援の介護料基準を参考にした。
②過失について
過失10%程度を目指したが、結果として30%になったものの、相手の50%以上の過失の主張は否定した裁判である。