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尾行や隠し撮り行為に対し謝料増額判決|高次脳|交通事故

横浜地裁管内

■高次脳機能障害(判例009)
■後遺障害等級:併合2級 確定年:2005年
■横浜地裁管内

被害者の状況

①19歳・男性(アルバイト)
② 信号のない交差点を原付バイクで直進中、左側から走行してきた乗用車と衝突(一時停止の標識はバイク側にあり)
③ 脳挫傷により2級3号の高次脳機能障害、斜視等併合2級

認められた主な損害費目

将来介護料 約6,700万円
逸失利益 約9,400万円
後遺障害慰謝料 約2,400万円
近親者慰謝料 約300万円
その他 約2,500万円
約2億1,300万円

(過失相殺65%控除後 約7,300万円)

詳細

加害者の主張

①将来介護料は、随時介護で日額3,000円程度が妥当。

②逸失利益の基礎収入は、被害者がアルバイトだったため相応に下げるべき。

裁判所の判断

①将来介護料

(1)将来介護料は随時介護で十分だという加害者側の主張に対し、当事務所は高次脳機能障害の患者に対する見守り監視等の大変さをこまかく訴え、「家族介護(日額8,000円)×125日」「職業介護(日額1万2,000円)×240日」を主張。

(2)その結果、裁判所はほぼ原告側の主張どおり「日額1万円×365日×余命年数」という高額な将来介護料を認めた。

②慰謝料

本件では、損保が依頼した調査会社が2週間にわたって被害者を尾行調査し、撮影が禁止されている保護施設内で隠し撮りなどを行っていた。こうした悪質な行為に対し、裁判官は「社会通念上許容される限度を超えた不相当な行為」と言及。2級の後遺障害としては大変高額な、本人慰謝料2,400万円、近親者慰謝料300万円を認めた。

③逸失利益

当時、被害者は大学進学を目指してアルバイト中だったことを主張したところ、逸失利益の基礎収入として、賃金センサス(男子全年齢)が採用された。

当事務所のコメント

①慰謝料について

注目されるべきは、相手側の損保会社が行った不当な行為を理由に慰謝料が増額されたことだろう。尾行や隠し取りなどの事実が明らかな場合は、その被害をしっかり主張することが大切である。

②まとめ

この事故は被害者の側に一時停止無視の違反があったため、65%の過失がとられたが、将来介護料や逸失利益で大きな増額をすることができ、原告には大変感謝される結果となった。