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より重い2級相当を立証|高次脳機能障害|交通事故 弁護士

札幌地裁管内

■高次脳機能障害(判例008)
■後遺障害等級:3級1号 確定年:2005年
■札幌地裁管内

被害者の状況

①21歳・女性(女子大生)
② 軽乗用車が中央線を越えて対向車と衝突し、運転者は死亡。同乗していた被害者が、脳挫傷、顔面骨折などの重傷を負った。高次脳機能障害3級、外貌醜状等で併合1級
③ 被害者は、実際には退院後も母親の介助がなければ日常生活ができなかった
④ この裁判は、同乗していた軽自動車の所有者を被告として起こした

認められた主な損害費目

将来介護料 約7,000万円
逸失利益 約8,000万円
後遺障害慰謝料 約3,000万円
その他 約1,400万円
約1億9,400万円

(過失相殺なし)

詳細

加害者の主張

①将来介護料について

高次脳機能障害は3級となっており、家族が付き添うようにという医師の指示は特になかったため、介護費用は日額2,000~3,000円程度で十分である。

②逸失利益

逸失利益の基礎収入については、大学在学中の事故だったため大卒女子の平均賃金を用いるべきではない。

裁判所の判断

①将来介護料について

(1)本件被害者の場合、刃物や火気に対する注意力が不足していて日常生活を営むには大変危険な状態で、退院後も母親の介助が不可欠だった。そこで当事務所は、現実には2級3号に近い障害であるということを、専門医の協力を得て意見書等として提出した。

(2)その結果、裁判所は「3級の高次脳機能障害者ではあるが、生涯にわたって行動を見守る必要がある状態である」と認定。母親が67歳になるまでは週5日の職業介護人、週2日は家族介護料を、さらに母親が67歳以降は、年間をとおして職業介護人による介護を認め、結果的に日額1万円を超える職業介護人の費用が認定された。

②逸失利益

逸失利益については、大卒女子の平均賃金を基礎収入として算出された。

母親が67歳まで 母親が67歳以降原告の余命まで
平日 年240日 祝日休日 年125日 年間365日
職業介護人日額 8,000円
家族介護日額 2,000円
合わせて日額1万1,000円の介護料を認めた。
家族介護人日額 7,000円 職業介護人日額 8,000円
家族介護日額 2,000円
年間通して日額1万1,000円の介護料を認めた。

当事務所のコメント

①将来介護料について

3級でこれほど高額な将来介護料が認められたことは、極めて稀な事例といえる。後遺障害の等級であきらめず、日常生活の危険性や介護の困難さをしっかりと立証することが大切だ。出来れば、医師の協力を得ることが望ましい。本件は、まさにそういう事案であった。

②まとめ

女子大生でありながら総額2億円という高額賠償となった。