母親が就労可能で職業介護人を認定|高次脳|交通事故 弁護士
千葉地裁管内
■高次脳機能障害(判例005)
■後遺障害等級:1級 確定年:2004年
裁判所認定額 約2億500万円
■千葉地裁管内
裁判所認定額 約2億500万円
被害者の状況
①19歳・女性
② 原付バイクで交差点を直進中、右折の大型貨物車と衝突。
③ 高次脳機能障害1級、右方麻痺
④ 被害者には事故当時1歳の弟がおり、母親は仕事を一時やめて子育てに専念していたが、弟が保育園に入る年齢になったら仕事に戻るつもりで、職場復帰以降は職業介護を希望していた。
認められた主な損害費目
■高次脳機能障害(判例5) 裁判所認定額 約2億500万円 ■千葉地裁
被害者データ |
認められた主な損害費目
▲過失相殺10% |
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詳細
加害者の主張
①母親による介護を前提として将来介護料は低額で算出すべき。職業介護人は不要。
②将来介護雑費も低額でよい。
裁判所の判断
将来介護料について
当事務所は母親の職場復帰への思いと「女性の働く権利」(憲法論)をしっかりと主張したところ、裁判官は介護者である母親が就労する機会を損なわないよう、結果的に図のようなかたちで、弟と母親それぞれの年齢に応じて介護のスタイルと職業介護人の関与の仕方を分けたうえで、事故から5年後以降は、職業介護1万3,600円と家族介護8,000円の併用を平均して、日額1万800円の将来介護料が認めた。将来介護雑費も日額1万3,600円の職業介護料が認められた。
被害者の弟が6歳まで(5年間) | 日額8,000円(家族介護) |
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被害者の弟が7歳から(23年間) | (家族介護+職業介護)÷2=日額1万800円 |
母親が70歳以降(34年間) | 日額1万3,600円(職業介護) |
当事務所のコメント
①被害者側が「女性の働く権利」(憲法論)を強く主張した結果、裁判所がそれを全面的に認め、母親が将来職場に復帰した後の職業介護を認めたという画期的な事例である。
②母親だから、女性だからといって、被害を受けた子どもや家族の介護に一生涯専念しなければならないという決まりはない。女性の権利をしっかり主張することが大切である。
③高次脳機能障害の1級に高額な職業介護料を認めたケースである。