事故よる自殺を8割認めた|高次脳機能障害|交通事故 弁護士
二審 東京高裁 一審東京地裁八王子支部
■高次脳機能障害(判例002)
■後遺障害等級:5級 確定年:2003年
裁判所認定額 損保提示額0円 → 認定額 約5,900万円
■二審 東京高裁 一審東京地裁八王子支部
裁判所認定額 損保提示額0円 → 認定額 約5,900万円
被害者の状況
①54歳・女性
② 自転車で交差点を横断中、右折中の貨物乗用車衝突
③ 事故に高次脳機能障害を負った被害者はその後、自殺。しかし、加害者側の損保会社は「事故と自殺の因果関係はゼロ」と主張し、遺族に対する保険金の支払いを完全に拒否していた。
認められた主な損害費目
逸失利益 | 約2,100万円(就労分) 約320万円(年金分) |
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慰謝料 | 約2,200万円 |
近親者慰謝料 | 約500万円 |
休業損害 | 約450万円 |
葬儀費用 | 約150万円 |
その他 | 約180万円 |
計 | 約5,900万円 |
▲20%減額
詳細
加害者の主張
事故と被害者の自殺の因果関係はないため、逸失利益等の支払いの必要はない。
裁判所の判断
①当事務所は、まず高次脳機能障害に自殺願望があることを文献上も明らかにし、患者の状態から高次脳機能障害であったかどうか、および後遺障害の程度を専門医にしっかり分析してもらった。次に、この医師の意見書の結果を踏まえ、患者の日常行動を十分立証した。その結果、裁判所は高次脳機能障害と自殺との因果関係を80%認めた。
②逸失利益については、被害者の平均余命31年間のうち、始めの5年間は仕事に就き、その後は老齢厚生年金を受給するものとして認定された。
当事務所のコメント
交通事故の被害者がその後自殺した場合、加害者側の損保会社は、事故と死亡との因果関係を認めようとはしない。仮に認めたとしても、せいぜい30%程度が上限だった。しかし、近年の研究では、「事故で高次脳機能障害を負った被害者には、自殺願望が顕著に現れる」という事実も明らかになっている。本件はこの立証に成功したケースである。損保の主張に屈せず、丁寧な立証を行うことで80%の因果関係が認められ、ご遺族には大変感謝された事案である。