過失が激しく争われた過失逆転事案
東京高等裁判所管轄内
■死亡事案(判例017)
■確定年:2012年 判決
■東京高等裁判所管轄内
被害者の状況
①10歳・男児(小学生)
男性 小学生(事故時10歳)
被害者が道路を横断歩行中に自動車に轢かれた事故
死亡
認められた主な損害費目
逸失利益 |
約3,260万円 |
---|---|
死亡慰謝料(本人分) |
約2,200万円 |
近親者慰謝料 |
約400万円 |
葬儀関連費用 |
約150万円 |
その他 |
約70万円 |
損害額 |
約6,080万円 |
過失相殺15%控除 |
-約910万円 |
任意保険金控除 |
-約50万円 |
人身傷害保険金控除 |
-約3,760万円 |
遅延損害金 |
約810万円 |
最終金額 |
約2,170万円 |
*1)調整金とは,弁護士費用,遅延損害金相当
*2)人身傷害保険金約4675万円を加えて,総額約6,840万円を獲得した。
詳細
加害者の主張
本件事故は,子ども数人が鬼ごっこをする中で,そのうちの一人であった被害者が,突如狭い通路から加害車両の目の前に飛び出したことによって生じた。このような事故態様からすれば,加害者が被害者に気付き急ブレーキをかけたとしても,本件事故を回避することが不可能と言うに等しい状況にあった。したがって,本件では相当な過失相殺がなされるべきである。
裁判所の判断
加害者は,本件事故直前に後方を振り返り衝突まで被害者に気付かなかったこと,本件通路には子供が複数人おり道路に飛び出してくる可能性があることを想定して進行すべき義務があったこと等の事情に鑑みれば,加害者のその過失は大きいというべきである。他方で,被害者は車の直前を横断しようとしたとは言え,その過失は15%にとどまるものである。
当事務所のコメント/ポイント
本件は,被害者が狭い通路から急に飛び出してきたことが大きな事故の原因だとして,過失が激しく争われたものの,結果的には被害者の過失15%に抑えることに成功した。
また,被害者は,自身の過失分を補填できる保険(人身傷害保険)に加入していたため,その過失分約910万円についても,全額これを受領することができた。自身にも過失がある方は,一度自身が加入している自動車保険の内容を確認してみることをお勧めしたい。場合によっては,過失分を受け取ることが可能となる。
- 引用 -